I was only joking

音楽・文学・映画・演劇など。アボカドベイビー。

Jim O'rouke/Sleep Like It's Winterを1分ずつ聴く(4:00~5:00)

前回はこちら
iwasonlyjoking.hatenablog.com

 

加えられていく音数が少ない時間。一音一音に耳をそばだてる時間が長くなり、瞑想に近い状態に体が入る。氷の洞窟の中にいる感覚。さっきまでだったらノイズに埋もれていただろう鍵盤の音が。水がはじけるようにパシャっと広がる。

 

4:00~4:17 新しい音が加えられることなく、低音fのシンセ、高音bフラット(久しぶりに黒鍵の音?)のフィードバック、その間で鍵盤gの音がずっと持続していく。fがルートだと考えるとgもbフラットもテンションの音で、メジャーもマイナーもないぼんやりとしたコード感

4:17 一度消えた低音fのシンセが再び現れる。倍音が微妙に揺らいでいるように聞こえる

4:27 水が跳ねるような鍵盤の響き。gとdを同時に鳴らしている。

4:35 高音(基音はdか?)と低音eの音量が同時に上がっていく。

4:43 gのピアノと同時にフィードバック。しばらくフィードバックに包まれる。

4:45 低音のf。

4:56 低音がeに移る。ピアノを押した音というより、チェロの弓を弾いて出した音のような持続感のある印象。

 

ここではルートのなる低音がfとeの間を半音ずつ行き来している。これがdやcに移ればもっとコード感が出るだろうが、二つの音を繰り返すことで宙吊りの浮遊感が生じる。不協和にも協和にも聞こえない曖昧さを残したメロディメイキング。今まで聴いた通り、この曲はフレーズが反復しているわけでもないのだが、ずっと同じムードが続いているようにも感じる。これは和音の構成を最低限のものにすることで、曖昧さを保っているためだろうか。ただ、反復はしていないが、曲のかなり大きな要素がスティールギターのフィードバックと思われる音で、少なくとも開始5分間は何度も何度も現れてくることが確認できた。さて、この後はどうなるだろう。(続く)

 

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