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この一分間は、人工的な電子音が鳴っている印象が強い。ただし、音を聞いて浮かぶのは、人類が誕生する前から地球上に存在した自然物のイメージだ。それは波であり、木々であり、虫であったりする。寄せては返す水の移動や、風に煽られ震える葉の擦れをただずっと眺めているようなそんな気分。大いなる大らかな無駄。無駄に埋もれていたいという気持ちを抱かせるのに十分な「大きさ」が、この音の群れを特徴付ける。その「大きさ」を、小さく小さく聴いていこうと思います。
13:00~13:07 高音部が強いシンセの音が二つ。ワウエフェクターをかけたような「ホワ〜」と擬音化したくなる音と、「ピーー」といった趣の冷たく直線的な音。基音はそれぞれeとg。
13:08~15 低音のcのシンセが挿入されて、c,e,gでCメジャーコードが完成。穏やかな印象が強まる。
13:17 直線的なサウンドのシンセがgとdを繰り返す奏でる。
13:20 シンセがgとcの繰り返しになる。途中f#の音も入り込む。
13:23 水を跳ねる鍵盤。右チャンネル寄りにeの音。ほぼ同時にオクターブ低いeのフィードバックが左側から広がる。
13:30~50 直線的なシンセの音が複数重なり、音量も次第に大きくなり存在感を増してゆく。音程が細かる変わるが基音が不安定なため細かく聞き取れない。
13:43 柔らかい鐘の音のような鍵盤。波紋のように広がるのが聞き取れる。
13:49 小さくf#の鍵盤の音。不協和感が存在を主張している。
13:50~14:00 音の壁がどんどん厚くなるような感覚。高音のシンセの音は複数細かく現れたり消えたりする感じは、星の多い夜空のきらめきを連想させたりする。
音の主張は強いのだけど、どこか穏やかで優しいと感じたのは、コード感が単純なメジャーに収まるからかもしれない。ただ、後半にはf#も含まれてちょっとだけ不穏になる。コードの色彩が微妙に変化し続けているのがこの曲の特徴として(少なくとも今のところは)言えると思う。(続く)