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曲が中盤を過ぎ、おおらかな音の膨らみが訪れる。果てが見えないほど開けた大地のような、途方もなく大きな空間に身を置いたような感覚。持続していく音には豊かな厚みがあって、途中には地響きのような低音の唸りが現れる。今までの圧倒の波はどちらかというと高音部を中心に押し寄せたけど、今回は低音の圧力を体に浴びた。氷の世界が溶けて、やがて暖かい広がりの中へ。音が細かく積み重なりながらも、鷹揚なフィーリングが溢れていく感じ。鋭さが強かったこの曲の中では異色の時間といってもいい。それとも、この後はこうした鷹揚さが曲の中心を担っていくのだろうか?
23:00 gの音のフィードバックが分厚く響く。同時に星をちらばめたようなキラキラ音も聞こえる。
23:08 左スピーカーから高音のcのフィードバックの響き。
23:09 右側から風のような音。
23:11 gの音がcに変わる。音程の不明瞭な低音の音圧がこの辺りでひたすら持続している
23:16 cがdに変化する。
23:26 dがeに変わる。このとき、低音でcがなっており、cとeの長調の組み合わせが穏やかな雰囲気を作り出す。
23:31 再びgへ。高音のdのフィードバックが重なってくる。
23:36 持続音がgからcに変わる。
23:40 いくつかのフィードバックサウンドが波状に積み重なる。
23:44 少し高い音でa#が右側から聞こえる。
23:46 地響きのような低音。曲中で一番ロウが強い印象。中音域はcからdへ。
23:50 キラキラした音と、高音域、中音域、低音域、それぞれの音域での持続音がバランス良く押し寄せてくる。圧迫感はあっても鋭さがない。体全体に心地よい圧がかかってくる感覚がある。
23:56 dがeに変化。g→c→d→eの流れがおよそ30秒のスパンで反復していることがわかる。
ちょうど30秒で二回のループがあり、なおかつ長調の明るい響きがあり、音域のバランスが取れた形での音量と音圧の上昇がある。この辺りが、おおらかなスケールの大きさ、広がる大地のイメージにつながっているのではないだろうか。(続く)