I was only joking

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Jim O'Rouke/Sleep Like It's Winterを1分ずつ聴く(28:00~29:00)'

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iwasonlyjoking.hatenablog.com

 

予兆のような一分間。この世のものと思えないような何者かの声が囁く(その声の主を「天使」とでも形容したくなるけど、流石に陳腐にしか感じれらない)。声は優しい。だけど今にも暴走して全てを壊すような不安も感じさせる。ただのシンセサイザーの音であろう音が恍惚と恐怖をもたらす。ここからまた次の「何か」がやってくる。そんな予感がひしひしと伝わる。そんな時間。

 

28:00 高いfの音の囁き。

28:06 オクターブ下のfへ変化。同時に強調された倍音としてcが聞こえる。

28:13 gに変化。

28:19 aが基音の、厚みを帯びた(同時に少し神経質な印象のある)シンセの持続音が響く

28:20 ローズピアノっぽいサウンドでc,a,f(と思われる)のアルペジオが素早く鳴らされる

28:25 囁き。eの音。

28:28 囁きに呼応するかのようにdのシンセが広がる。

28:30 囁きがfに変化して、解決感が出る。6秒ほど持続。

28:38 少し低いシンセでdとd#の音。不穏な感じ。

28:42 fのシンセも混じっている。

28:45 右側からはcの音が聞こえる。シンセが厚みを増して、存在感が強くなる。

28:49 少しギラついた高い音が一瞬現れて彩りを与える。

28:55 eの囁き。

28:59 bの音からcの音へ変化(あるいは別の音が重なってる?ちょっと不明瞭)。

 

同じ音、例えば囁きを連想する音がeで鳴らされる瞬間が(おそらく)二回、この一分間にはあるけれど、他になっている音が全く異なるため、反復しているとはほとんど感じない。緩やかに繰り返されている、だがどこか違う。何かが変わっている。この微細な「違い」の認識が、僕に44分23秒の曲を1分ずつ聴くという偏執的な行為に向かわせたんだろう。そして、この変化はわかりやすいドラマツルギーを持っていない。「起承転結」とか、弁証法(正→反→合)みたいな展開はない。ではこの変化はなんなのか。最後まで聴いたところで、構造的な振り返りをしたいなとなんとなく考えている。(つづく)

 

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