I was only joking

音楽・文学・映画・演劇など。アボカドベイビー。

Jim O'rouke/Sleep Like It's Winterを1分ずつ聴く(6:00~7:00)

前回はこちら

iwasonlyjoking.hatenablog.com

 

どこか荘厳な雰囲気が漂う。ある種の神秘性みたいなものを常に帯びてはいたけど、今まではもっと音の波にトバされて意識が「向こう側」にいく、みたいな印象だった。ここではトバされるような音というより、静けさの中で聴覚に意識を集中させることで自然の中に深く入り込むような体験になっている。静の中に運動を見出す。それはどこか日本的な美意識ではないかと思うんだけど、実際のところはどうなるんだろう。仏教や俳句の世界を僕はイメージしているのだろうが、本来的にはそれがどこまで日本という地域、あるいは国家と結びついている美意識なのかはちゃんと考えたことなかったな。

そして、ワサワサしている音が短波ラジオの音であることがわかる時間でもある。フィードバックよりもラジオの音が目立っているのがこの一分間だ。

 

6:00〜 g,a,cあたりを基音にしたフィードバック音が重なっているのだが、それぞれの音程が微妙に揺らいでいて、少し不安な感じが漂う。

6:03 短波ラジオの音が目立ち始める。音量の上がり下がりが繰り返されていて、電波が波を形成している感じがよく聞き取れる。

6:09 水を弾くようなg音の鍵盤が単発で鳴る。

6:15~20 ラジオの波とフィードバックの波が同時に迫り上がる。フィードバックのc音が増長してdの音を誘発している感じが鮮やか。音というものは不思議だなという気持ちになる。

6:20 水弾き鍵盤のgが再び

6:25 c,dのフィードバックの上にbフラットが重なる。コードネームだとC7add9だろうか。テンションの強い響きになる。

6:30 三たび水弾きのg

6:31 中域のフィードバック音cの音程がベンディングしていて、管楽器っぽい音に聞こえる。おそらくギターの音なんだろうけど。

6:37 高音のbフラットのフィードバック(もしくはシンセ?)がc音に重なっていて、この辺りもコードの緊張度が高い。

6:44 森の音のような高音のシンセが重なる。音程はちゃんと聞き取れないけどおそらくc。

6:48 再びラジオとフィードバックが迫り上がる。e音のふくらみが目立つ。

6:51 中域のc。20秒前になっていた音と同じものだと思うけど、これも楽器はシンセなのかもしれない。

6:55〜 ラジオ、シンセ、フィードバックとあらゆる音が増えていく。音程も複数に重なっていて、トーンクラスター(和音の全てに音を同時に鳴らす音。房状和音)っぽい響きになっている。

 

そういえば、前回cのミクソリディアンスケールの曲だと言ったけど、この曲の基準になる音はおそらくaなんだよな。a,bフラット,c,d,e,f,gという音階がこの曲のモードだと言えると思うんだけど、この状態を何スケールと呼べばいいのかよくわかりません。音楽理論に詳しい方がいたら教えて欲しいですね。(続く)

 

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