I was only joking

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Jim O'rouke/Sleep Like It's Winterを1分ずつ聴く(21:00~22:00)

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膨れ上がった音の連鎖が静まり、瞑想めいた時間が始まる。その穏やかさは、どこかいたずらっ子めいた憎い可愛げも同時に宿している。妖精がくすくす笑いをしているような印象は、音楽的には全く異なるのだが、Smashing Pumpkinsの「Lily(My One And Only)」という小曲を思い出させる。いや、ほんとに全然違うんだけど、なぜか思い出す。

 

 

 

激しい何かが過ぎた後の凪のような穏やかさ。ここのパートを「穏やか」だと感じるということは、逆に今までを「激しい」と感じていたのだろう。この曲は本当に、睡眠導入剤としてのアンビエントとは程遠い。ただ、覚醒したまま、夢の中を探索しているような気持ちになる。そういう意味では「サイケデリック」という言葉が似合いそうだが、そう呼ぶとこの曲に宿る峻厳さを撮り損なってしまう気がする。激しく、冷たく、ブッとんでいて、険しい。しかし、全体像としては、まさしくアンビエントミュージックと呼ばざるを得ない音像になっている。この掴み所のなさは、1分ずつ聴いて、22分経ったところでもあまり変わっていないようだ。

 

21:00~21:05 フィードバック音などの重なりがどんどん収縮していく。

21:10~21:15 「デジタル龍笛」と前回形容した雅楽っぽいサウンドを中心に、もう一度少し膨らむ

21:23 全体的に音がフェイドアウト。代わりに高いフィードバック音が現れる。おそらく基音はe。

21:28 シンセキーボードっぽいcの音が入ってくる。

21:32 ギターを感じる中音域のフィードバック。基音はd。

21:35~ 音が落ち着いていき、風のようなノイズが目立ち出す。

21:44 低音のシンセ。おそらくc音だが、倍音が強くて判別しにくい。ほぼ同時にeの中音域フィードバック。

21:52 gのフィードバック。笛っぽいサウンド

21:59 gの音がcに変わる。

 

おそらく穏やかさは音の質感だけでなく、cやgが目立つ音程にもよるものだろう。シンプルで協和的な音程使いが、安心感を曲に与えていることがわかる。この後には何がくるか。実際は最後まで何回も聴いているのだが、細かいところは本当に予想がついていない。(続く)

 

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