I was only joking

音楽・文学・映画・演劇など。アボカドベイビー。

Jim O'rouke/Sleep Like It's Winterを1分ずつ聴く(20:00~21:00)/

前回はこちら
iwasonlyjoking.hatenablog.com

 

おぉ、とても気持ちいい・・・。

フィードバックの連鎖が戻ってきた。意識に襲いかかるようなサウンド復権。時々、寝ようとしている時に頭の中でツーンという音が鳴って広がったと思ったら一瞬で消えるみたいな体験をすることがあって、この曲の音はその時の感覚に非常に近しい。外側のわかりやすい影響から来るサイケデリアではなく、内側から襲いかかってくるサイケデリア。「冬のように眠る」というのは、惰眠をむさぼるというよりも、内側からの他者と遭遇する体験を意味している気がしてきた。

 

20:01 右側から、小さい音でフィードバック音が聞こえ出す。fの音。

20:09 左から先ほどより音量が大きく、音程が低いa音のフィードバック。蒸気の沸騰を想起させる。

20:12 真ん中でさらにフィードバック。これはc音か。

20:21 fのフィードバック。先ほど鳴っていたのと近い音だが、音量は大きくなっているか。

20:27 音量が上がったり下がったりで「ホワンホワン」聞こえるフィードバックがどんどん大きくなってくる。

20:37 c音のフィードバック。さらにもっと甲高いフィードバックが聞こえてくる。このあたりから幾重にも音が重ねられて、区別がつかなくなる。

20:42 低めのdの持続音が気づいたら鳴っている。右チャンネルから雅楽龍笛をデジタル化したような甲高い音がこのあたりから聞こえ出す。

20:47 音程化できない風のようなノイズも鳴り出す。

20:51 真ん中あたりでワウワウいうaのシンセがどんどん大きくなり、デジタル竜笛も大きくなり、狂騒の趣き。

20:53 aのワウワウに触発されるように、d音のワウワウも聞こえ出す。

 

後半に進むに従い音の種類も増えていき、騒がしいが緊張感もあり、荘厳だが街のノイズも思わせる、非常に複雑な様相を見せ始める。ワウワウいう音は警報のようで不安感を募らせつつ、同時にとても気持ちいい。この曲の中でも、かなり美しい1分間なのではないだろうか。(続く)

 

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