I was only joking

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Jim O'rouke/Sleep Like It' Winterを1分ずつ聴く(17:00~18:00)

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非常に音が小さいパートに突入している。流しで聴いている時は1分ほど無音が続いているのではないかと訝しんでいたところだ。音量を上げて聞いてみると、今までで一番(人間以外の動植物の気配が感じられるという意味で)「自然」を感じさせる箇所であることがわかる。薄く伸ばされたキーボードとともに、虫の音や鳥の鳴き声を思わせる音が複数聞こえてくる。今までの冷たさとは離れて、どこか熱帯の森のような気配さえ漂っている。この曲には、冷たい音は大きく、暖かい音は小さく、といった力学が働いているのではないか。そんな風にも思えてくる。

 

17:00  輪郭の薄いシンセ音が持続する中、「パタパタ」という羽が閉じたり開いたりするような音が聞こえる。

17:02~ 左チャンネルからカエルの鳴き声のような音が繰り返し聞こえる。鳥の鳴き声と思われる音も聞こえており、音世界はジャングルの様相を呈している。

17:08 ラジオの周波数を合わせる時のノイズが拾われる。今鳴っている自然音は全てラジオ短波が拾った音源なのかもしれない。

17:12 右チャンネルから「クェイッ、クェイッ」という鳥の鳴き声

17:16 真ん中からジージーいうノイズ音。蝉の鳴き声も連想するが、これはラジオから発されている音だろう。

17:20~ カエル、鳥、ラジオノイズが弾き続け繰り広げられる中、シンセの存在感が増す。

17;30 縄を高速で振り回した時のような高い音がうっすら聞こえる。

17:40 左チャンネルで鳥の鳴き声。先ほどから聞こえていたものよりより生々しい。単純に音量が大きいからだろうか、「合成音などではなく、確かに生物の音だな」という印象を持つ。

17:45~ 全体的に音量が少しずつ増していく。

17:57 右から電話の着信音のような「トゥルルルルル」がわずかに聞こえる。

17:59 ひよこのような高い音域の柔らかい音も聞こえる。

 

電子音より自然音の存在感が強いと感じたのは、17:40あたりから比較的大きな音で聞こえてくる鳥の鳴き声の影響だろう。「クウゥエァ、クウウゥエァ」といった形で擬音化できそうな声が次第に大きくなる時のインパクトが強いため、自然音のイメージが強く現れるのだ。このようなフィールドレコーディング的なパートが存在したこと自体が、今まで繰り返しこの曲を聴いていたものにとっては新鮮である。こんな音が存在すると思ってなかったから。さて、この後はどうなっていくのか(続く)

 

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