I was only joking

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Jim O'rouke/Sleep Like It's Winterを1分ずつ聴く(16:00~17:00)

前回はこちら

iwasonlyjoking.hatenablog.com

 

さて、前回は圧迫感が少しずつ穏やかさに変わっていく一分間だった。ここでさらなる変化が起きる。

つまり、無音。

 

 

ここまで音の出入りが激しく、アンビエントと言いつつ実際に耳を集中させるとなかなか落ち着かない音楽だったわけだけど(この曲を聴いて寝るのは厳しい)、少し落ち着いたかと思ったらあっけなく沈黙が訪れた。曲が終わってしまうかのような静寂に包み込まれる。聞こえてくるのは部屋の外の風の音。だが、スピーカーに耳を近づける、あるいは音量を上げていくと、音が鳴っていることがわかる。この音を、細く聴いていきたい。

 

16:00 ここ1、2分のうちで目立っていた、断ち切れながら持続する(光の点滅を想起させる)シンセの音が高音を発している。音程はd,f,aあたりを行き来しているように聞こえる。

16:02 低音のシンセがcの音で。ほぼ同時にgのフィードバック音。

16:10 g音と入れ替わるようにbのフィードバック。

16:17 点滅シンセとフィードバックが鳴る中、低音のシンセがaで。フィードバックがbからeに変化する。フィードバックが広がる中で点滅シンセが聞こえなくなる。

16:25 フィードバックがdに変わる。 

16:29 低音シンセがaからgに。

16:30~39 低音シンセとフィードバックが減算していく。

16:40 訪れる沈黙。

ここでヴォリュームを上げてみる。すると、フィードバック音は16:42まで続いていることがわかる。そのあとで新しい音が入ってくる。

16:43 輪郭のないホワァとした音が聞こえてくる。

16:45 右チャンネルからは細かく振動して途切れる音が鳴っている。蝉の声をとても小さくしたような音。

16:51 小さい音でフィードバックが発生している。耳にキーンと響く類の音で、この曲の冒頭で鳴っていた音と印象が近い。

16:56 左から細かく震える音。こちらは虫の羽音を思わせる。

16:57~17:00 輪郭のない音が少しずつ存在感を増していく。

 

全き無音にも思えた時間は、実際には音が鳴っていて、その中で変化も起きている。ただ、音量を通常の二倍にしないと聞こえないくらいの小さな音だ。ほとんどの人が聞き逃すくらいの小音量でも、音の調整が行われている。その事実は、少し僕を楽しくさせる。1分ずつ細やかに聴くことでしか発見できなかったことだからだ。この後もおそらく沈黙に近い状態が続くので、聴いてくのが楽しみである。

この静寂部分は聞こえる音量で全体も聴いてみたいけど、確実に近所迷惑だな・・・(続く)

 

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