I was only joking

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Jim O'rouke/Sleep Like It's Winterを1分ずつ聴く(41:00~42:00)

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冷たく薄い音の空気が、あたりを囲んでいる。少しずつ色彩を変えていく低音の響きは穏やかだが、中音〜高音部を漂う冷気は一定の険しさと尊厳を保っている。この曲の題名は「冬のように眠る」。たしかに、そろそろ眠る頃なのだろう。ただ、ここには気怠い惰性が存在しない。厳かに刻まれた音響彫刻は、氷の柱のように、一本の芯を通したまま、眠りの世界を表現する。それは、眠りというよりも、死に近い感覚なのかもしれない。

 

41:00 gの低音。6度マイナーの響きあり。

41:04 低音がdに変わる。

41:05 ゆらゆらした、蝶のように空中を舞うような音が聞こえる。少しずつ音量が大きくなる。(41:28まで持続する)

41:07 中域でfからb♭への移行。この曲で何度も何度も繰り返されるパターン。

41:11 もやっとした音の層がせり上がる。eの音に聞こえる。

41:15 低音のうごめき。d#に聞こえる。

41:25 右チャンネルからfの低音が広がる。

41:30 高いd#のシンセ。冷たい響き。

41:33 aのシンセが重なる。7度特有の、不協和ギリギリで協和に収まる感覚。

41:40 三つほどのシンセが別々に重なる。低音のdと、中音域のf、g。

41:46 右寄りにa#の音が伸びる。

41:50 低音のd#シンセが広がる。

41:53 オルガンに近い音。音程がはっきりしないが、中音域のd#に聞こえる。

41:58 シンセがa#からfへ。すぐにa#に戻る。


音が広がったり重なったりはするものの、節度をもちつつ、淡く淡く、時間が流れている。あと2分20秒でこの曲は終わる。

 

 

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