I was only joking

音楽・文学・映画・演劇など。アボカドベイビー。

Jim O'rouke/Sleep Like It's Winterを1分ずつ聴く(11:00~12:00)

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iwasonlyjoking.hatenablog.com

 

ここで、今までで一番ドラマチックな事件が起きる。つまり

 

音が消える。

 

音量においては冒頭から飛ばし気味に鳴っていたこの曲だが、一瞬なんの音もしない状況になる。その分、ピアノやシンセの鳴り方がよくわかる。時系列でひとまず整理してみよう。

 

11:00~02 シンセの音が消える。左側の音はフェイドアウト、右スピーカーよりに出ている音は音程を歪がませた後でぽっと消える。線香花火みたいに。

11:05 鍵盤でd,f,e,a。度々登場するフレーズだが、無音から湧き上がった状態だと倍音が多く含まれていることがわかる。オクターブ上のdも直後に鳴らされる。「水の跳ねる音」と何度か形容していた音響と、鍵盤の音は実は同じなのかもしれない。音程の高さによって倍音の感触が異なるので、違う音に聞こえていたのかもしれない。

11:15~23 鍵盤でcの後、残響音が持続し、23秒の時点で音が途絶える。

11:25 ニューエイジ風のシンセとフィードバックが同時に発生。シンセはa,dの和音かな?フィードバックはc。

11:27~39 フィードバックが何層にも重なる。ここも音数が少ないため、重なり方がよく聞こえる。 和音構造はg,c,aあたり。Csus4(add9)かな。

11:40 低音cのシンセ。フィードバックがさらに広がる。

11:42 再びd,f,e,aのアルペジオ

11:45~53 高い音のシンセの揺らぎのみが残る。なんとなく、星のきらめきを想起させるものがある。

11:54 低音のa

11:56 cの鍵盤。

11:57~12:00 フィードバックと低音が広がったまま次の一分間へ。

 

実際に音が途絶えるのは11:03~05、11:23~25と、どちらもほんの数秒。それでも、一切音が発せられていない状態が発生していることは特筆すべきだろう。一音一音の存在感が強く、一分間集中して聴くという聴き方は有効に機能する時間だと感じた。音程としても不協和がなくなり、安定した憂いを見せている。この後の状況がどうなっていくか、全く読めないな。(続く)

 

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