I was only joking

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Jim O'Rouke/Sleep Like It's Winterを1分ずつ聴く(32:00~33:00)

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iwasonlyjoking.hatenablog.com

 

空の上、無重力空間でゆらゆら揺れていたところから、大地に戻る。乾いた渓谷を、高く広い視野から高速移動しながら眺める。そんなイメージが浮かぶ。どことなく音のスケールが大きい。暖かで穏やかだが、押し寄せる感じがある。現れる音の一つ一つに輪郭と圧力があり、聴いていると自分の内側から力強くせり上がるものを感じる。受け止める。それは快くもあり、同時にのしかかる重圧のようにも感じる。ずっと夢心地なわけでもないのが、この曲の特徴かもしれない。

 

32:00~06 中音域でcのシンセが持続。その下のd#の音が右チャンネルから。輪郭の薄いgの高い音も聞こえる。三つを重ねるとd#6の和音になる。5〜6秒ほど音が伸びる。

32:06 右側から低音で圧の強いfが聞こえる。ジリジリいうノイズが混じる。左から放たれる高いfのシンセも高圧力。

32:11 雅楽を連想させる、倍音の強い笛のようなd#の音。

32:13 輪郭の曖昧なfの音が重なる。

32:16 高いa#の宇宙っぽいシンセ

32:23 音量控えめだが輪郭の明確な鍵盤の音がfからa#へ動く。

32:24 かなり高いeの音。妖精を連想させる響き。2.3秒でフェイドアウトする。

32:25~30 a#が強い、氷の壁のようなシンセの音が押し寄せる。

32:29 妖精サウンドが音量を上げて再び。音程もeからfへ上昇。

32:32 高い音が一瞬横切ってフッと消える。

32:36 中音域のdの音が左側から大きくなる。右側では氷の壁がcの音で。左右に圧迫感が5秒ほど続く。

32:42 右寄りに、音の小さいフィードバックギターのような音。音程はcに聞こえる。

32:47 音が一瞬落ち着き、そこから低音でfの音が少しずつ押し寄せる。右側ではa#の高いシンセの音が持続。

32:50 aの音が左側から少し顔を出す。

32:52 中音域のフィードバックcの音の後に、高いfの音がせり上がり、冷たい印象を残す。

32:59 d#の中音域のシンセの音量が上昇する。

32:54 低音が大きくなり、cに変化。

 

ルート音はこの辺りもa#のままのよう。聞こえてくる音の中だと、eだけがダイアトニック環境から外れているよう(増4度)。この曲における環境外の音の扱いがどのような規則の上で使われているのか、少し気になるところである。(続く)

 

 

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